明日太が理性を失い、はずむを犯してしまったあの日。
彼は自分のやったことが恐ろしくなって、逃げ出して。
気がついたら、駅前のベンチで雨の中、一人でいた。
服を着ていたのは奇跡だった。
風呂から逃げてきたんだから。
そしてそこから家に帰りついたら、はずむは居なかった。
濡れた制服も、靴も、何ひとつ残さずに居なくなっていた。
まるで、はずむなど最初から明日太の家に来ていなかったんじゃないか、と思えるほど。
玄関の前の植木鉢の下に隠してある合鍵で、丁寧に鍵までかけて消えていた。
はずむは誰にも言わなかった。
自分が明日太に犯されたことを。乱暴されたことを。
とまりにも、あゆきにも、やす菜にも。
でも……。
あの日以来、はずむが明日太のことを避けるようになった。
あの日までは毎朝一緒に学校に通っていたのに。
とまりよりも、あゆきよりも、そして明日太よりも一人早くに家を出て学校に行く。
帰るときも姿をくらませて絶対に皆と帰ろうとしない。
そんなはずむの様子に、明日太は自分のしたことを深く思い知らされた。
自分のせいで、はずむを取り巻くものが壊れてしまったのだ。
なんとかしたかった。自分のしたことなのだが。
それでも、なんとかしたかった。
授業が終わると同時に、姿をくらませるはずむ。
明日太は必死にはずむの姿を探す。
校門、廊下、玄関。
探しに探して。
それを何日繰り返しただろうか。
とうとう、ある日。
屋上で。
夕暮れの屋上。
オレンジ色の風景。
そこに、はずむがいた。
屋上の植物たちの世話をしに来ていたのだ。
ここにははずむが世話をしている大小様々な多数の植物たちが生い茂っている。
小さいものは鉢植え。大きいものは、木。
はずむが愛情をかけて育ててきた、大切な植物たち。
どんなに早く帰りたくても、これだけは放っておくわけにはいかない。
そういうことだったのだろう。
屋上のドアを開けたとき、明日太ははずむの姿を見つけて。
目が合ったとき、水やりのための如雨露を持ったまま硬直し、怯えた表情を浮かべるはずむに、明日太は心を締め付けられるような痛みを覚えたが。
それを噛み殺し、はずむへと近づく。
それに気づき、持っていた如雨露を捨てて身を翻し逃げようとするはずむの腕を明日太は掴んで、言った。
夕暮れの屋上で。
「待てよ」
「やだっ!離してっ!」
暴れて、振り解こうとする。
しかし、所詮は女の力。
加えて、元々はずむは男としてひ弱な方だった。それが女になったのだから体格のいい明日太の力に敵うはずがなかった。
「落ち着けって!」
自分にそれを言う資格があるのか。
そういう心の声に痛みを覚えたが。
それしか、言う言葉が無かった。
だが、そんな弱気が声に出たのか。
今まで暴れるだけだったはずむが、キッと明日太を見上げ、言ってきたのだ。
「またボクのことを犯すのッ!?またボクのことを玩具にするのッ!?」
明日太を凍りつかせる言葉を。
はずむの腕を掴む手の力が弱まる。
その一瞬の隙をつき、はずむは明日太の手を振り解いた。
「はずむっ」
だが一瞬早く、明日太はまたそのまま逃げようとするはずむの腕を掴む。
「離してっ!離してっ!」
明日太の手を振り払おうと腕を振り回す。
子供のように。
そして振り回しながら、言った。
「事故に遭って!!女の子になって!!」
涙目で。
「そしたら親友だと思ってた明日太に犯されて!!」
明日太の心にはしる痛み。
しかし……自分の撒いた種。
痛みを訴える資格は、無い。
「こんなことならっ……こんなことならっ……!!」
暴れるはずむの息遣いが荒い。
涙目が本泣きになってくる。
辛いことを口にして、感情が昂ぶったせいなのか。
そして、言ってしまった。
「ボク、事故に遭ったとき、そのまま死んじゃった方が良かった!!」
その言葉に。
反射的に、手が出た。
「ふざけんなっ」
……思わず手加減を忘れた。
平手だったが、殴ってしまった。
かなり、強く。
「良いわけあるかっ!!」
殴られたはずむは、数瞬固まっていた。
怒る明日太を見つめて、殴られた頬に手をあて、ポカンと。
だが、さらに一瞬後。
「……玩具がなくなるから?」
ポロポロと涙を流しながら、キッと明日太を睨みつける。
「ボクのこと犯したくせにっ!玩具にしたくせにっ!」
本気の怒り。
はずむの目にはそれがあった。
「お説教なんて、白々しすぎるよっ!」
自分を陵辱した相手に、命の大切さを説かれる。
おとなしいはずむも、これには我慢ならなかったのだ。
当然だろう。
「確かに……俺の言えた義理じゃないよな。
スマン……」
でも。
自分に、言う資格が無い以上、届かないかもしれない。
「でもな」
伝わらないかもしれない。でも。
「俺はそんな意味で言ったんじゃ……ねえよ」
言わずにおくより、言った方が納得できる。
「嘘だっ」
「嘘なもんか」
すぐさまくる否定の言葉。
自分とはずむの築いてきた信頼。
自分の行いが、それを壊した。
その結果。
自業自得。
それでも。
「だったらなんでっ」
「……俺さ」
言っておきたかった。
「女になったお前見て、お前のこと彼女にできたらどんなにいいだろう、ってずっと思ってた」
決定的に自分たち二人の関係を壊すかもしれない。
それでも。
「え……」
思いがけなかったのか。
はずむの表情から、先ほどまでの怒りの表情が消えていた。
明日太は、続ける。
「でもさ、お前親友だもんな……。男のときから、ずっと」
ずっと秘めていた思いを。
「そんなこと、言えないよな」
これで、本当に終わりかもしれないから。
悔いを残したくないから。
「ごめんなぁ……俺、お前の親友だったくせに……
女になったお前見て、惚れちゃったんだ……」
胸に溜めていたことを、全部口にした。
懸命に。
はずむの怒りの表情が消えていることにも気づかぬほどに。
「好きで好きで、どうしようもなくなっちまったんだ……」
「……本気?」
だから。
「……え?」
はずむが自分の胸に飛び込んできたとき。
一瞬、何が起きたか理解できなかった。
「お父さんとお母さん、何も言わないけど」
明日太の胸に縋りつきながら。
「きっとね、ボクが女の子になっちゃったから」
はずむは、そう、口にした。
「ボクは結婚できないだろう、おうちが絶えちゃうだろうって」
ぽつぽつと、抱えていた思いを。
「それで悲しい思いをしたんじゃないかなって、そう思うんだ」
そこには怒りや怯えは無く。
「でもボク、ホントは男の子だったから」
「普通に男の子と恋愛して、結婚することはきっと無理」
あるのは。
「でも」
「明日太なら……」
恋する乙女そのものの。
「ボク、女の子になれるかも……しれない」
熱で潤んだ瞳だった。
「はずむ……」
思いがけないはずむの言葉に、明日太の胸は高鳴る。
「ほんとに、俺でいいのか?」
聞き返さずにはいられない。もしここで否定されたら立ち上がれなくなるかもしれないのに。
明日太のもうひとつの心の声が、やめろと叫ぶ。
否定されたらどうする気だ、と。
「うん……」
しかしそれは。
「明日太でないと……ダメだよ」
無用のことだった。
はずむの手がそっと明日太の背に回される。
小さく柔らかな身体が触れている。
明日太はどんどん高まっていく。
「おかしいね。昔は男の子だったのに」
明日太の胸に顔を埋めながら。
「ボク、今すごくどきどきしてる」
はずむは熱の篭もった声で続ける。
「はずむ……」
そっとはずむの頭に手を回し、その柔らかな髪を撫でる。
こみ上げてくる愛しさが、彼にそうさせたのだ。
「明日太……」
はずむが熱い吐息とともに、自分の名前を呼んでくれる。
見上げるはずむの潤んだ瞳が、明日太の心をさらに飛躍させる。
まるで夢のようだ。
こんな素晴らしい女が、自分と……?
そして続いたはずむの言葉は
「しよ」
「え……?」
さらに夢のようなものだった。
そっと、はずむが明日太から身を離す。
そして。
「もう夕方だから、この辺誰もいないよ」
しゅる。
そういって、はずむは制服のリボンを解いた。
そして胸のボタンを外していく。
ごく……。
思わず飲み込む生唾。
白いブラに包まれた、弾けそうな胸。
それがそこにあったから。
手に蘇る触れた感触。
吸い上げたとき舌先に感じた乳首の感触。
頬に触れた柔らかさ。揉んだときの弾力。
下半身に血が集まってくる。瞬く間に。
とっても柔らかで、たまらない快楽をもたらしてくれる。
はずむの身体。
もう二度と抱くことは無いと思っていたのに。
もう一度抱けるなんて。
いや。
はずむの同意さえ得られれば、何度でも抱ける。
これから、ずっと。
「この前は無理矢理だったから……」
「明日太は……イヤ?」
ポッと頬を染め上げ。。
潤んだ目で見上げてくる。
「はずむっ!」
たまらず抱きしめる。
今度はこちらから。
柔らかで、小さくて。あったかくて。
鼻腔に届く、甘い芳香。
人のこれまでの繁栄を支えてきた、牝が牡を魅了するための匂い。
女の匂い。
愛しさと欲望がこみ上げてくる。
「はずむ……」
欲望の命ずるままに、明日太ははずむの唇に、自らのそれを重ね合わせた。
「明日太……」
はずむは目を閉じて、それに応えた。
少し長めのキスを終えると、明日太ははずむの胸からブラを取り去った。
ホックを外し、上に摺らす。
もぞもぞとはずむの身体を触りながら、服の上からそれを行おうとする明日太。はずむもそれに協力する。
それほど手間取らず、はずむの胸が露になった。
前を開けられた制服のシャツから、外気に晒されているはずむの胸。
シャツの影に隠れて見え隠れする桜色の乳首。
激しくエロティックだった。
思わず生唾を飲み込む。
本能的に吸い付きたくなり、明日太は唇をその吸い口に寄せた。
が。
「前みたいに強く吸っちゃやだよ?……痛いから……」
釘を刺すような、そんなはずむの言葉。
前科があるだけにちょっとグサリとくる。
「わ、分かった……」
しかしすぐに気にならなくなった。
これからはずむを抱けるという事実に比べれば、気にするような問題じゃあない。
興奮で声が上擦る。
前に一回貪り尽くしたのに。
ぴちゃ……
「ん……」
舌先が乳首に触れると、はずむの身体が小さく震えた。
ぴちゃ、ぴちゃ……
欲望のまま吸い付きたい気持ちを押し殺し、はずむの乳首を舐めしゃぶる。
甘そうな桜色のそれを、丹念に舐めるうち。
(あ……勃起してきた。感じてんのか……?はずむも)
少女の乳首は硬くしこり、充血してきていた。
見上げるとはずむは、頬を染め、悩ましげな表情で眉根を寄せ、薄く開いた唇から、はぁ、はぁと熱い吐息。
感じている。間違いなくはずむは感じている。
明日太は誇らしい気持ちになった。
はずむが自分の乳房への愛撫で気持ちよくなってくれているんだ!
その気持ちが、明日太の背中を押す。
「きゃっ」
はずむが小さく悲鳴をあげたが、気にしない。
はずむのスカートの中に手を入れ、ふとももを撫で回す。
そしてスカートの中身、下着の中央部分に触れたとき。
そこが湿っていることに気がついた。
(はずむ……濡れてる)
「濡れてる……」
思わず呟いてしまった。
はずむの性器から染み出した液体が、はずむの下着を濡らしている。
はずむの身体が、男を受け入れるための準備をはじめている―――
「だって……しょうがないじゃないか」
明日太の呟きを聞いたはずむの声。
それは小さかった。
自分が感じて濡らしている。
それを明日太に言われたことが恥かしいのか。
「明日太におっぱいを吸われて……気持ち良かった……んだもん……」
消え入りそうな声。
羞恥がいっぱいになったその声。
それを、小柄で、抱きしめたら壊れてしまいそうな、美しい少女が発している。
自分に対して。
たまらなかった。
(夢みたいだ……)
まさに天にも昇る心境とはこのことだろう。
「明日太だって……」
上擦った声。興奮している証。
人から動物へと変貌していくこと。
「おちんちん、こんなに大きくなってる……」
そっと、はずむが握ってきた。
がちがちにこわばりはじめている明日太の剛直を。
思わず仰け反ってしまう。
「うあっ!」
びくっ!
「!」
思わず、はずむまで反応してしまう。
「す……すまん。気持ちよくて……」
そのくらい、気持ちよかった。
明日太のそんな告白を聞くはずむ。
ちょっと俯き加減で。
言う。
「ねぇ明日太……」
そっと。
思い切って、頑張って。
そんな感じで。
「はずむ……?」
もじもじと。
何かはずむが明日太にしようとしている。
そんな気配が、感じられた。
そしてそれは。
「手で……擦ってあげようか?」
「マジか!?」
期待通りだった。
心臓がどくとくと活発に暴れ出した。
これから奉仕してもらえることに期待している。
明日太の身体が。
あのはずむの細く綺麗で可憐な指で、自分の醜く膨れ上がった男根を扱いてもらう。
たまらない。
してほしい。
してほしくてたまらない。
「だ……だってボク、これから明日太と……その……するんだよ?」
「だったら……このくらい……当然だよ」
もじもじと続けるはずむ。
思わず襲い掛かりたくなる仕草だ。
しかしそれをかろうじて残っている理性で抑え付け、明日太はもどかしげにファスナーを開け、自分の男根を引っ張り出した。
それをはずむに向けて仁王立ちする。
ギンギンに充血しきった男性器。
元少年のはずむには見慣れたもののはずだったが。
現彼女は驚いていた。
息を呑まんばかりに。
「わ……」
目を丸くするはずむ。
「すごく……大きい」
カタチはともかく。
「昔のボクより……ずっと」
大きさが見慣れなかったのか。
ぼそり。
ものすごく小さな声で。
複雑そうだった。
「は、はずむっ」
切羽詰っている。
そんな声をあげる明日太。
はやく!
はやく擦って欲しい!!
そんな思いが言葉の端に滲み出している。
「じ、じゃあ……するね?」
明日太が野獣になりかけている。
それを肌で感じ取ったのか。
はずむはやや気圧され気味になりながら、跪いてその明日太の肉欲の塊に手を伸ばした。
はずむの綺麗な指先が、完全に欲望を曝け出している剛直に触れて、絡み付く。
「うっ」
握られたとき。
明日太は歯を食いしばった。
それだけで気を抜いた瞬間射精してしまいそうなほど気持ちよかったから。
「ううっ」
くちゅる……くちゅる……。
そして上下に扱かれ始める。
ものすごく気持ちいい。
自分でするのなんて比べ物にならない。
「そ……そんなに気持ちいい?」
明日太の先端から分泌液で手を汚しつつ、はずむは扱き続ける。
ときおりカリ首の裏側を爪の先で軽く引っかきつつ。
それをされるたびに明日太の背中が反り返る。
「ああっ……お前だって分かるだろっ……!?」
「う……うん……」
男だったからこそ、こうして欲しいというところが言われなくても分かるのか。
気持ち良すぎた。
やばすぎるほど。
限界がすぐそばまで迫ってきている。
まずい。
このままでははずむの手だけでイッてしまう!!
「たっ……タンマっ!」
「え……?」
思わず言う。
「ストップッ……!」
「はずむっ……入れさせてくれっ」
このまま射精してしまうのは、あまりももったいない。
それは嫌だ。
イク前に、はずむと繋がっておきたい!!
混乱しているはずむを置き去りにして、牡の本能に突き動かされた明日太ははずむを立たせ、
「え……え……」
「そこの木の幹に掴まってさ、尻を突き出す感じでっ……」
脳裏で思い描いている交尾の姿勢。
「こ、こう……?」
それを取らせた。
木の幹に掴まり、肉付きのいい綺麗な尻を突き出す。
捲り上げたスカートの下に裸の尻。
はずむが男と交わるために、尻を突き出している。
男と生殖行動を行なおうとしている。
ひくついている濡れた性器に男のものを迎え入れ、精を呑み込もうとしている。
種付けの姿勢。
犬の交尾の姿勢。
……。
入れたい。
入れたくて気が狂いそうだ。
「入れるぞ……」
はずむの細い腰を鷲づかみにして引き寄せ、はずむとの交尾の体勢に入る明日太。
呼吸が荒くなり、もどかしさを感じつつも自らの男性器をはずむの女性器へと狙いを定める。
クチュ!
「んっ!」
先端が触れた瞬間、ギュッと目を閉じてはずむが可愛い声で喘いだ。
男時代の親友の明日太と合意の上で交尾する。
そんな異常な事態に興奮しているのか。
振り返ってくる少女の横顔には明らかな欲情があった。
そして。
ズムムムッ!
「あ、あ、あ……」
明日太の男根が挿入され、明日太との交尾が開始されたとき。
「ああ〜っ!」
牝の嬌声。
はずむの喉から、それが洩れたのだ。
「はずむっ!はずむぅっ!」
激しく抜き差しされ、子宮が明日太の男性器で突き上げられる。
太股の肌に明日太の腰が密着する。
乱暴に揉みしだかれる胸。
ぐりぐりと指先で捏ねられる乳首。
気持ちよかった。
頭が真っ白になっていく。
「ボ……ボクのアソコに明日太のチンチンが入っちゃってるよぉっ!!」
牡牝のつながり。
それがはずむの頭から理性を奪い、獣へと近づけていく。
「ボク、明日太と交尾しちゃってるよぉっ!」
交尾。
そう。これは交尾なのだ。
今、自分は、男時代の親友と、牡と牝の関係で、交尾しているんだ。
「はぁっ!!ああっ!明日太ぁっ!!」
自分は動物と同格。
そんな妄想が、はずむの脳裏に電流を流し、さらなる快楽へと導いていく。
「はぁぁう!」
強引に犯したあのときとはまるで違うはずむの反応。
明らかに快楽を感じ、悶え、卑猥な言葉すら口にする。
たまらなかった。
「ううっ!!はずむの中っ……気持ち良過ぎっ……!」
それだけではない。
「ボクもいいよぉっ!明日太のでっかいチンチンが気持ちいいよぉっ!」
男としても満たされる。
はずむとこうなりたかった。
俺はこうなりたかったんだ!
耐えに耐え抜いてきた射精感。
だが、もうそろそろ限界だった。
もう我慢できない。出る。
しかし。
このままでははずむの中に出すことになってしまう。
それは、避けたかった。
この前と同じことは……
だが。
「待って!!」
男根を膣内から抜こうとしている。
それを感じ取ったのか。
明日太を振り向いて。
泣き出しそうな表情で。
「まだ抜いちゃやだっ!いきそうなのっ!」
そのとき、はずむが叫んだのだ。
泣き出しそうな声で。
「中に出してもいいからっ」
「あかちゃんできちゃったら、ボク、明日太のあかちゃん産むからっ!」
快楽に狂っているせいで、何も考えずに口走っている台詞だろう。
しかし。
それが明日太に与えた衝撃は大きかった。
はずむが……俺の子供を産む?
ずっと、親友だったはずむ。
男だったのに、今は女で、俺に今合意の上で抱かれているはずむ。
そんなはずむの腹の中に、俺の子供を宿らせる。
……それ、メチャクチャ興奮しねえ?
はずむに出会って、絆を深めて、今に至る過程全てを孕ませるような。
……どす黒く、背徳的で、それゆえ興奮する。
はずむの全てを組み敷いて、自分のものにする。
作ってみたい!
自分とはずむとの間に子供を!!
明日太は本能のままに腰を律動させる。
牡として、牝を孕ませるために。
はずむは俺の嫁になってくれると言った!
嫁なんだから、はずむの腹は俺のもんなんだっ!!
俺のもんだから、俺ははずむを妊娠させてもいいんだっ!!
全てを忘れる。はずむを孕ませることだけしか頭になくなっていく。
自分の睾丸の中で作られている精子ひとつひとつが実感できる。
やるんだっ!
こんないい女に、俺の子種を植え付けてっ、全部俺のものにっ!
「いいんだなっ?はずむっ!?このまま出して孕ませちまうぞっ!?」
本能のままの、獣の笑みを浮かべ、明日太は言った。
その胸に今渦巻いているのは、はずむへの愛情を上回るどす黒い欲望。
すなわち、メスの全てを支配して、自分の子孫を繁栄させたいと願う、オスの本能。
ぱんっ、ぱんっ、ぱんっ!
「うんっ!いいのっ!!出してっ!!出して明日太ぁ!!」
背後からの突き上げでがくんがくんと頭を揺らし、はずむは叫んだ。
掴まらされた木の幹にすがり付きながら。
くるっ、精子がくるっ!
はずむの頭の中の牝の本能は、自分と交尾している牡の吐精を感じ取って震えていた。
吐き出された精子を迎え入れ、自分の卵子と受精させて子供を作る。
自分に植え付けられる子種の主は明日太。健康を絵に描いたような牡だ。
生まれる仔も生命力に満ち溢れた個体に違いない。
はずむの本能はそれを悦び、はずむにさらなる快楽を与えた。
ビュッ!
精子が放たれる。
「んんっ!!」
目をギュッと瞑って。
種付けを受けるはずむ。
子宮を明日太の精子が満たしていく。
明日太の子供を孕む準備が整っていく。
胎の中を隙間無く満たしていく。
子宮口にペニスの先端を密着させた、この上も無い種付け。
女の胎の中へ刻む牡の刻印。
金玉の中の精子っ!全部はずむの胎の中に送り込むっ!
孕めッ!お前の胎は俺のモンだッ!
お前の卵子は全部俺のためにあるんだッ!
はずむの胎の中に自分の精子を射精するたび。
明日太の心は強い達成感とはずむを組み敷き自分のものにした満足感に満たされていった。
「はずむ……」
「ん……」
完全に射精し尽し、さわさわとはずむの胸、腹を撫で回しながら明日太ははずむの耳に囁いた。
「今、俺の精子がお前の子宮の中で泳いでるんだ……わかるか?」
「わかるよ……いっぱいになってるから」
半ば陶然とした声でそう答える。
「明日太の……せいえき……」
声に、ぞくりっ、とするものがあった。
牡の精子を受け入れ、受胎の準備を整えている牝の声。
牡の本能を刺激するその声の響きに、射精を終え萎えかけていた明日太の男根が、瞬く間に復活する。
湧き上がる欲望のまま、明日太は強引にはずむを振り向かせ、その唇を奪った。
乱暴に舌を差し入れる。
まさに貪るようなキス。
あのときみたいな。
だがしかし、今度ははずむは抵抗せず、受け入れた。
強引に差し入れられたそれに、自分の舌を絡み合わせる。
そのままはずむを茂みに押し倒し、ムチャクチャに腰を振る明日太。
そんな明日太の背中に手を回し爪を立て、身悶えするはずむ。
二人は互いを貪りつつ、激しく唇を合わせ、人目を気にせず唸り、喘いだ。
「はずむっ!俺の子供を産んでくれっ!」
「明日太ぁ!ボクを孕ませてぇっ!」
完全に発情した獣と化した二人の声を聞く者は、幸いそこには誰もいなかった。
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